テレビ番組

「ひきこもり」の取材から支援へ - フリージャーナリスト石川清の記録

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「ひきこもり支援・石川清」をテーマとするNHK番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」が1月14日火曜午後10時30分から NHK総合テレビで放送されます。

取材から支援へ

石川清さん(1964年生)は上智大学文学部卒業後、NHKの記者を経て、日本とアジアの関係をテーマとするフリージャーナリストとなりました。

しかし、ジャーナリストとして「長期ひきこもり」問題を取材しているうちに、ひょんなことから2000年頃から支援する側に立つようになりました。

年間訪問件数800回で、長期ひきこもりとじっくり向き合い、医者や施設などからも見放された彼らの心を開き、実社会へと復帰させてきました。

番組の案内では石川さんを次のように紹介しています。

「いま日本には、家族以外との交流を断ち、ひきこもる人が100万人いる。
こうした人たちの心の扉を20年にわたってノックし続けてきた支援のエキスパートがいる。
面会できなくとも何年も通い続けて信頼関係を築き、希望の明かりを灯し続ける。
彼と出会うことでひきこもりを脱した人が後を絶たない。
組織に属さず、たった一人で支援を続ける一匹狼の記録。」

主な著書

石川清さんの主な著書に『ドキュメント・長期ひきこもりの現場から』(洋泉社、2017年)、『津山三十人殺し 七十六年目の真実』(学研パブリッシング、2014年)などがあります。

また、「CVN(コミュニケーション・ボランティア・ネットワーク)ひきこもり支援の集い」を主宰しています。

「孤立化の解決」は「自立」

石川清さんは数多くの講演を行い、「長期ひきこもり」問題について言及しています。

そのような講演では、ひきこもり状態における当面の課題とは「孤立化の解決」にあり、依存しながらも少しずつ「自立」へのアプローチをしていくことが求められると話しています。

石川さんによると、自立には、自分でお金を稼ぎ生活に必要なものを自分自身で調達できるようになる「経済的自立」、炊事・洗濯・買い物など身の回りのことが自分一人でできるようになる「身辺的自立」、自分で考えて行動ができ何か失敗したときにはそれを乗り越えることができる「精神的自立」の三種類があるといいます。

孤立化の解決のためには、経済的自立・身辺的自立・精神的自立という三つの自立をある程度のレベルまで持っていくこと、あるいは、自立を助けるシステムを本人の周りに作ってあげることが大切です。

しかし、日本において、ひきこもりに対するそのようなシステムはいまだ充分ではないと、石川さんは断言します。

自立に向けては、具体的に次の五つのポイントが重要であると石川さんは指摘しています。

①家離れをすること(具体的には、風呂なしの物件に住むのが良いとのことです)
②一生の友人を作ること
③異性との深い交流
④経済管理(正しいお金の使い方ができること)
⑤大人になるための通過儀礼(いろいろな人と向き合うこと・いろいろな体験をすること・自分一人で修羅場を乗り越えること)

石川さんは、ひきこもり状態の方が依存体質からの脱却し、自立の方向へと移行することを目標に活動されていますが、それには海外旅行が有効であると、強調します。

日常の閉鎖的な関係性の中では人と関わることにプレッシャーを感じてしまうが、海外に出ればそこから解放され、プレッシャーのない関係性が築きやすいとのことです。

考え方や文化の違うところに赴き、見ず知らずの人と交わり助け合うことで、人と人とのつながりに価値を持ち、今持っている考え方を柔軟に変えていく。

このことが重要であり、海外旅行に行けばこれらのことを味わうことができると、主張し、多くの長期ひきこもりの人と海外旅行を行っています。
(参照:寺子屋ふぁみりあでの講演)

「プロフェッショナル 仕事の流儀」の密着取材について

石川さんは今回の番組のために受けた取材について、ご自身のフェイスブックサイトに次のように回想しています。

「それと、実はNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」の密着取材を9月から11月初旬まで受けて、その放送が1月14日(ほぼこっちみたいですが)か21日の夜10時半頃にあります。

これまで取材はあまり受けてこなかったのですが、担当ディレクターの木村さんが、ある意味の豪傑で、当事者の安易な紹介はしない、ひきこもり問題で見失われがちな医療や福祉の網にかからないで長期化している当事者をめぐる問題にフォーカスする、当事者や家族のプライバシーを最優先する(このために大半の取材はカメラクルーのないディレクター一人でカメラを回すということになったり、実際の家庭訪問の現場は特に前半はほとんど入れずに屋外で待機という困難な取材体制を了承してもらいました。

プライバシーの保護についても番組を見ていただければわかるかと思います)などの条件を全て受け入れてくれたので、番組化できたものです。

うまく伝わるかは、まだ番組を見ていないので断言できるわけではありませんが、とてもチャレンジングな作品と思います。

長期ひきこもり問題やその支援の難しさ、面白さをテレビで伝える新しいひな形のようなものになってもらえたら幸いです。

真っ黒画面がずっと続く事態があったとしても(笑)楽しまれてください。」

石川清さんのFacebook>>> ISHIKAWA Kiyoshi

今の日本にひきこもる人が100万人いると聞いて驚きました。
石川さんのような支援者が益々必要となっていますね。

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