豆知識

ハロウィンのカボチャの名前は? - 中の灯は地獄の火!

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この十年、日本でも10月になると、いつの間にか町中に魔女、お化け、黒猫とカボチャの提灯(ちょうちん)が現れるようになりました。

そのカボチャの提灯のことを「ハロウィン・カボチャ」や「カボチャのお化け」と呼ぶ人がいますが、実はちゃんとした名前があるのです、ジャック・オー・ランタン(英: Jack o’ Lantern)といいます。

ハロウィンの起源は西洋の「お盆」

今やハロウィンは世界中で無国籍、無宗派のお祭りになってしまいましたが、歴史的背景を整理して見ますと、意外なことが分かります。

Halloween またはHallowe’enはAll Hallows’Eveningから転じた言葉で、hallowsとは聖者のことを意味します。

この日の夜は、聖者達を含む死者を弔う日「万聖節All Saints’Day」の前夜なのです。

キリスト教の行事とそれ以前から行われていたケルトの伝統的なお祭りをスムーズに融合させるため、古代ケルトの収穫祭の時期と夏の終わりを象徴する10月31日に前夜祭(All Hallows’Evening)を行って、冬の始まり(11月1-2日)に、All Saints’DayとAll Souls’Dayを設定したようです。

この3日間をAllhallowtide, Hallowtide, AllsaintstideやHallowmas seasonと呼びますが、興味深いことに、日本のお盆と酷似した行事なのです。

「ちょうちん持ち」のジャックは何もの?

ハロウィン・カボチャの話に戻りますが、ジャック・オー・ランタンを日本語に訳すと、吊り下げ式のランプ、つまりランタンを持っているジャックという男ということになります。

では、このジャックとはどのような人物だったのでしょうか。

テレビでおなじみのThe History Channel(ヒストリーチャンネル)のサイトなどを調べますと、このジャックに関するストーリーは諸説あるようです。

The History Channelの記事(英文)は>>> HISTORY:Jack o’ Lantern

それぞれの説明に共通している内容は、昔、アイルランドにいた酒好きで乱暴者、「ケチなジャック(Stingy Jack)」と呼ばれていた男がいたということでした。

物語によりますと、このジャックは悪魔を2度も騙して、その報いとして、死後、「うかばれないまま」、この世とあの世の間を彷徨い続ける定めとなったとのことでした。

第1回目の騙し

第1回目のだましは、ジャックをあの世へ迎えに来た悪魔に「この世の最後の思い出として、一杯のお酒を飲ませて欲しい。

その最後の一杯を買うためのお金に化けてくれないか」と頼まれた「お人よし」の悪魔が1枚の貨幣に化けた途端、ジャックはそれを自分の財布に入れてしまいました。

その財布の中には銀の十字架が入っていたため、悪魔は魔力が使えなくなり、自力では出られなくなってしまいました。

困った悪魔は、なんでも願いごとを叶えるから、財布から出してくれとジャックに頼みます。

そこで悪魔は、後1年はジャックのことを地獄へ迎えに来ないことを約束させられます。

第2回目の騙し

それから1年が経ち、再び悪魔がジャックのところへ現れます。

今度は木に生ったリンゴをこの世の土産としてあの世へ持って行きたいと言い出し、悪魔がリンゴを取りに木を登ったところ、ジャックは木の幹に十字架を彫り、悪魔が木から下りられないようにしました。

また、悪魔はジャックの望みを聞かなくてはならない羽目となり、今度は10年間自分に寄り付かないことと、さらに、絶対自分を地獄に連れて行かないことまで約束させられてしまいました。

未だに続く彷徨う旅

いずれ、ジャックは年を取り、死を迎えます。

生前にはたらいた数々の悪事で、当然天国には迎え入れてはもらえませんでした。

そこでしようが無く地獄へ向かいますが、入口で悪魔は、「約束の通り、あなたを地獄には入れない」と彼を拒否します。

行くところが無くなり、さすがのジャックは困り果ててしまいました。

結局、天国にも地獄にも行けないジャックは、悪魔に頼んで分けて貰った地獄の火を近くにあった蕪(かぶturnip)をくり抜いて作ったランタンに灯し、この世とあの世の間を彷徨うことになったというお話でした。

旅人が夜道で見かける怪しい光は、実はジャックのランタンだと未だに言い伝えられています。

カブからカボチャへ

時代が進むにつれて、いつの間にか、アイルランドやスコットランドではジャックの持つ蕪のランタン、ジャック・オー・ランタン、が死者の魂の象徴となり、万聖節前夜、つまりハロウィンにも飾られるようになりました。

(伝統的アイルランドの蕪のジャック・オー・ランタン)

アメリカに渡ったアイルランド系の移住者の間で、蕪の代わりに、アメリカでは豊富なカボチャでちょうちんを作るようになり、この習慣を伝え続けたのです。

魔物に仮装するのは本物の魔物を除けるため

ハロウィンは死者が地上に現れる日だから、よみがえった「お化け」などを皆が装って魔物のコスチュームを着ると思う人が多いと思いますが、実はその逆なのです。

みな恐ろしいかっこをする本来の目的は、本物の魔物が生きている自分達に寄り付かないように脅かすためでした。

ハロウィンの歴史やしきたりを考えなくても、現在のハロウィンでは、世界中の子供達は「trick or treat」と大はしゃぎしながら家々を回り、若者はコスプレして騒ぎ、大人はパーティーでお酒を交わしているので、結局はこのままでも本物の魔物を除ける効果はあるでしょう。

では、Happy Halloween!

https://anfluencer.com/halloween-in-tokyo/

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