前回まで、アメリカでは、ヤマノイモ属のyamと薩摩芋のsweet potatoとの区別が曖昧の状況を知りました。
その一つの原因は、そもそも、いずれの芋もアメリカやカナダの北米地域の原産ではなかったことにあるようです。
Sweet potatoはアメリカ大陸の熱帯地域原産で、最初に食したヨーロッパ人は中南米へ航海したクリストファー・コロンバスの仲間達だと言われています。
一方のYamはアフリカとアジアが原産地で、奴隷船でアメリカに連れてこられたアフリカ人達の船上の主食として、一緒に運ばれていました。
今でもアフリカでは主食の一つで、世界の90%のヤムはアフリカ産です。
Sweet potatoはヨーロッパ人によるアメリカの植民地化が始まる頃から南米から運ばれるようになり、そのうち北米でも栽培されるようになりました。
しかし、ヤムは北米では栽培されませんでした。
そのため、アメリカでは本物のヤムを売る店が非常に限られていて、大きなスーパーやグロサリーストア、あるいはエスニック食品を扱う専門店以外では売られていないそうです。
ではなぜアメリカでsweet potatoのことをyamと呼ぶ人が多いのでしょうか?一つの説は、西アフリカ出身で、ヤムの栽培経験があった奴隷が、南米産のsweet potatoを見て、それを「yam」と呼んだことが、この混乱の始まりだったというものです。
この話の信ぴょう性は疑わしいのですが、事実、米国ではこの名称の混乱は今でも続いています。
ところで、我々日本人が山芋やヤマノイモと呼んでいるヤムは、Chinese Yam(学名:Dioscorea polystachya)と分類されていて、主に中国、韓国と日本で栽培されています。
興味深いことに、じゃが芋の病気による不作から、19世紀、フランスは代替食品として、日本と同じ山芋(Chinese Yam)をアジアから緊急輸入したことがあるそうです。
なので、フランスでは、今でもアジア料理用としてその栽培が続いているそうです。