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英語になった日本語ワード:TycoonとMagnateとMogulの共通点

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前回の調べで、黒船で来航したペリー総督に対して、幕府は交渉相手の徳川将軍を「大君(タイクン)」と呼び、その絶大なる権限を示したことを知りました。

将軍は「Emperor天皇」は勿論のことですが、「King国王」とも名乗ることはできないため、日本の統治者であることを示すため、外交上、これ以後も「日本国大君」と名乗ることになりました。 この「taikun」という言葉が、今の英語で政財界の大物を指す単語の「tycoon」の語源だと分かってびっくりしました。

さらに驚いたのは、それが非常に早い時期から米国で使われるようになったことです。

実は、アメリカで最初にタイクーンと呼ばれたのは、あのAbraham Lincoln大統領だったという逸話が残っています。

1857年にペリーが帰国後、日本側の交渉相手が「日本国大君:Tycoon of Japan」だと知った大統領の側近たちが、冗談半分でリンカーンを米国の「Tycoon」と呼んだそうです。 また、tycoonと同意語の言葉、「magnate」と「mogul」とも大立者を指すのによく使われます。この二つの言葉の語源も大変興味深いものです。

Magnateの語源はラテン語で偉人を意味するmagnusの複数形「magnates」であり、mogulの語源は封建時代のインドのMughal(ムガール)帝国のペルシャ語読み「Mongol」と言われています。

Mughalの帝王達は、巨大な権力と巨万の富を保持し、かのTaj Mahalタージ・マハルを建設したのです。 絶大な力を持つ者を表すのに、遠い国や遠い昔の存在に思いを馳せ、想像力を膨らませるということは大いに納得できます。

日本語を語源とするこのtycoonという言葉については、特に注目するべき点があります。

Tycoonという言葉は、「Ninja」等と違って、日本の文化的背景と全く無縁に、英語圏のボキャブラリーになじんでいった例なのです。

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