3月28日木曜午後10時からテレビ東京系で放送される「カンブリア宮殿」では、草津町 黒岩信忠町長と株式会社いせん 井口智裕社長の、それぞれの「温泉町の再生」をテーマとする物語を知ることとなります。
番組の紹介では、『膨大な数の源泉や温泉旅館を持つ日本。
その「温泉」という”宝”を、時代に合わせて、もっと磨けば、とんでもない変化を呼び込むことができる!そんなチャレンジで大成功を収めた、伝統の温泉町「草津」と「湯沢」に現れた革新の男を徹底取材!彼らが断行した、驚きの改革を追った!』とあります。
どのような驚きの改革だったのでしょうか。
テレビ東京の人気番組『カンブリア宮殿』にて、草津温泉が取材されました。
「逆襲温泉スペシャル 〜日本の宝を磨いて、町を変えろ!」
3月28日(木)22時から放送予定です。お見逃しなく!https://t.co/eAd9h2l7jp pic.twitter.com/dzDVXsfwcO— 草津温泉観光協会 (@ulovekusatsu) March 22, 2019
雪国の観光を改革
株式会社いせん(新潟県南魚沼郡湯沢町湯沢2455、設立1953年12月)の井口智裕(いぐち・ともひろ)社長は、1973年、会社がある同じ新潟県南魚沼郡湯沢町に生まれ、温泉旅館の4代目として家業を継ぐことになります。
最終学歴はアメリカのワシントン州立Eastern Washington大学の経営学部マーケティング科卒業です。
卒業後、帰国して旅館業に入り、早速1998年から「湯沢ビューホテルいせん」の集客方針を変えました。
それまでは、スキーやビジネス客が中心の客層でしたが、ターゲットを変えて、同級会などの企画を宿泊プランに取り入れて、8年で温泉旅館のイメージと売上を改革しました。
2005年に社長に就任すると、「湯沢ビューホテルいせん」を「越後湯澤HATAGO井仙」と改名し、大幅にリニューアルします。
RT 「新潟のコシヒカリを、新潟の食材と一緒に、新潟で食べる」 13温泉地・115軒の宿が、新潟のおいしい朝ごはんを提案 #アドタイ http://t.co/dONhQen
— 越後湯澤 HATAGO井仙 (@hatago_isen) August 30, 2011
また、観光は地域で盛り上がらなければ持続できないと、2008年には周辺7市町村で構成する「雪国観光圏」を立ち上げ、新潟観光の総合的な計画を打ち出します。
続いて、2011年には旅館仲間3人で合同会社雪国食文化研究所を設立します。
地元の新潟産の農産物を活用した旅館のメニューの開発を進め、さらに道の駅で2店鋪の飲食店と食品加工場を運営するようになります。
2013年には一般社団法人雪国観光圏を設立し、井口氏は代表理事として、一層地域ぐるみの観光開発に尽力します。
この努力の結果、地域全体の温泉やその他の観光資源が生かされ、観光の品質や人材の育成も大きく改善されました。
越後湯澤HATAGO井仙の公式サイト:http://hatago-isen.jp/
草津温泉のV字回復
草津町の黒岩信忠(くろいわ・のぶただ)町長は1947年、地元の群馬県草津町生まれです。
同町出身の元農林水産相の山本富雄氏の選挙活動を支援していたことがきっかけとなり、1983年に草津町議に初当選し、政界入りします。
2009年まで7期務め、町議会議長も歴任します。
黒岩氏は、この頃深刻となっていたバブル期以降の観光客の減少が続いていた町の改革を目指して、2010年に知事に就任します。
草津温泉は日本一の自然湧出量を誇る日本三名泉の1つとして長年有名でしたが、観光客数はバブル期の300万人を頂点に下降線をたどり、一時期は265万人前後にまで落ち込んでしまっていたのです。
「300万人の観光客を呼び戻す」と黒岩町長は宣言し、町の財政改革並びにまちづくりを進め、行政主導の改革を実行してきました。
インフラ整備、町の照明、若い女性にアピールするPRなどで見事に草津温泉のV字回復を果たしました。
本白根山の噴火
草津町の努力により、2017年12月29日発表の観光・旅行業界の専門紙『観光経済新聞』の「第31回にっぽんの温泉100選」で、草津温泉が2017年度の総合第1位を獲得し、15年連続トップを維持することとなりました。
また、草津温泉は、泉質部門と雰囲気部門でも第1位、見所・体験の充実部門で第2位、郷土の食文化部門で第3位と全ての部門で高位でした。
ご参考に、この年のにっぽんの温泉100選の総合第2位は指宿温泉で、第3位は別府八湯でした。
しかし、昨年、2018年1月に本白根山(草津白根山の主峰)が噴火します。
草津温泉街は宿泊キャンセルが相次ぐ事態になってしまいます。
草津温泉は新火口から約5~7キロメートルと十分に離れた場所にあるとは言え、不安を感じた宿泊予約客からの問い合わせとキャンセルが相次ぎ、草津温泉旅館協同組合加盟105施設への調査によれば、26日夕方までに少なくとも約5,500件、延べ人数で約2万300人分の宿泊がキャンセルされたと報じられました。
これは経済損失の約3億円と推定されます。
その後、草津町は風評被害を最小限にとどめるために、全ての情報を公開し、全国に理解と応援をお願いしてきました。
黒岩町長の当時の気持ちを以下のようにあらわしています。
「風評被害も心配ですが、淡々とやっていくだけです。
火山がないと温泉は湧きません。
恵みに感謝しながら、正しく恐れ、さらに元気な草津町を実現していきます。」
ムーンライトウォーク、今回も素晴らしい月明かりの下、沢山の参加者の皆さんとお散歩できました!3枚目、月に照らされた本白根山とオリオン座、わかりますでしょうか…?スマホでもこのクオリティで撮れる明るさです! pic.twitter.com/YgSrA23rOY
— 草津温泉観光協会 (@ulovekusatsu) March 21, 2019
その後、「ふるさと納税」を含め、全国から再興の応援の気持ちが草津町に向けられています。
日本一の温泉町に、再びV字回復が実現する日が近いことを心からお祈りします。