今月16日夜(日本時間)に重さの単位キログラムの定義変更が国際度量衡総会に諮られるのを前に、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は現在の基準となっている金属製分銅「日本国キログラム原器」を報道陣に公開しました。
ホコリなどが付いても重さが変わってしまうため、茨城県つくば市にある産業技術総合研究所では、金庫の中で厳重に保管してきました。
【「キログラム原器」を公開】重さの単位「キログラム」の定義が約130年ぶりに見直されるのを前に、産業技術総合研究所は、日本国内の「1キログラム」の基準となっている合金製の分銅「日本国キログラム原器」を公開しました。
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— 時事ドットコム (@jijicom) November 12, 2018
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16日にキログラムの重さの再定義について決定
物の重さや長さの定義は国際条約で定められています。
16日にフランスで行われる国際度量衡総会議で、およそ130年ぶりに1キログラムの重さの定義が変わる可能性があります。
新定義でも1キロの重さは変わらないが、定義の変更が決まれば、「日本国キログラム原器」は来年5月でお役御免となってしまいます。
産業技術総合研究所の倉本直樹・質量標準研究グループ長は「(定義変更でも)日本国原器は完全に引退するのではなく、非常に優秀な分銅として新たな役割を果たす予定だ」としています。
フランスでの総会で日本時間今月16日夜、投票にかけられ、重さの定義の変更が決まる可能性があります。
再定義の必要性
科学者の間では物の単位を「物体」(=人工基準器)ではなく、「普遍的な基準」(=基礎物理定数)によって定義をしなくては正確な国際的単位にならないと考えているようです。
現在は重さの基準のキログラム原器は白金とイリジウムの合金でできています。
そのキログラム原器は国際単位系の基本単位を定義するために現在も使われている唯一の人工基準器だそうです。
しかし、国際単位系は基礎物理定数による再定義が進んでいます。
例えば長さの単位のメートルの場合、もともと合金製のメートル原器で定義されていたが、1983年に、299,792,458分の1秒間に光が真空中を進む距離として再定義されました。
世界各国の科学者たちは、キログラムについても時代遅れの定義をやめ、基礎物理定数によって再定義し、ほかの国際単位系とバランスを取ろうとしているわけです。
キログラムの新しい定義としてはいくつかの案が出ていますが、有力なのはアボガドロ定数に基づく定義だそうです。
これ以上の説明素人にはできませんので、添付の「SCIENTIFIC AMERICAN」の日本版「日経サイエンス:質量標準,いよいよ再定義〜日経サイエンス2018年12月号より」を参考にして下さい。
素人には理解するのは難しい話ですが、我々の日常生活には全く影響がないようなので安心しました。
しかし、フランス、日本や世界中で大事に、大事に守られてきた100個の金属製分銅「キログラム原器」が急に、ただの「限りなく1キログラムに近い金属の塊」と化してしまうのは寂しい気がしますね。
なにか、世界の「宝物」が一つ減ってしまったような気持ちになってしまいます。
2017年5月号 「キログラムを再定義」
現在1kgを定義しているのは19世紀の人工物だ。この国際キログラム原器は劣化しつつあり,それに変わる新定義を設定する作業 が大詰めを迎えている。 https://t.co/RK4hgwMYT4 #計量学 pic.twitter.com/8CneRCD68o— 日経サイエンス (@NikkeiScience) November 13, 2018
参考資料:
「日経サイエンス:質量標準,いよいよ再定義〜日経サイエンス2018年12月号より」
SI基本単位の改定が近く評決される
キログラムの重さが減っている。1kgの質量を定義する公式の物体は,139年前に白金とイリジウムの合金で作られた小さな円筒で,パリ近郊の3重に施錠された保管庫のなかにある。極めて貴重なので,科学者がこれを保管庫から取り出すことはめったにない。その代わり,「実用標準器」というコピーが使われる。だが,本当の国際原器を最後に点検した際,これが他のすべての実用標準に比べて1億分の5ほど重いことがわかった。実用標準器は天秤に載せられるたびに数個の金属原子を失ってきたのだ。キログラムが物体ではなく基本定数に基づいた計算によって近く定義し直されるのは,これが1つの理由だ。
「標準を物体によって定義し,その物体を保存する必要がある限り,この種のことがどうしても起こる」と,米国立標準技術研究所(NIST)の物理学者で国際単位系(SI)を監督する国際度量衡委員会のメンバーであるモア(Peter Mohr)はいう。「これに対し,基本定数は時間がたっても変化しない」。
すべての単位が自然定数に準拠へ
キログラムの再定義は,SI基本単位のすべてを自然定数によって定めようと計画されている大がかりな改訂の一部だ。57カ国の代表が11月中旬にフランスのベルサイユで開く会議で改訂について投票し,新ルールが承認される見通し。キログラムのほか,電流のアンペアと温度のケルビン,物質量のモルが新たな定義を得ることになる。これら4つはそれぞれ順に,プランク定数,電気素量,ボルツマン定数,アボガドロ定数に基づく定義に変わる。
これらの定数はどれも実験室での計測によって値が求められ,その測定値は本来的にいくらかの不確実性を含んでいる。だが票決が予定通りにまとまれば,国際単位系を使っている各国は最良のデータに基づいて各定数の数値を固定の値に定めることに合意し,それらを用いて基本単位を導出することになる。