岡山大学、東京大学、北里大学の共同研究グループは、メダカ野生集団の網羅的ゲノム配列(genotyping-by-sequencing)情報を用いて、日本列島内のメダカの拡散ルートを明らかにしました。
最新の遺伝子解析技術を使って日本のメダカの故郷は、北部九州と、山陰の但馬丹後地方だと解明できました。
【環境関連ニュース】
日本のメダカの故郷はどこだ ゲノム解析で2カ所を解明(12/13 朝日新聞)https://t.co/vmElcX4JmL— WWFジャパン (@WWFJapan) December 13, 2018
身近に感じるメダカですが、最近までその歴史が解明されていなかったようです。
最新の形跡技術で、ようやくその進化が分かってきたようです。
日本の“メダカ”には2大グループがあります
日本にすむメダカの遺伝子を調べた研究では、日本のメダカは15ものグループにも分けられることがわかっていました。
何百万年という長い時間をかけてメダカは日本各地に分布を広げていき、それぞれの地域で違った環境に適応して性質が変化していったためだと考えられています。
その15のグループは大きく2つの大きなグループに分けられることが出来ることが分かりました。
そこで、「沖縄から岩手の南日本グループ」と「福井県若狭湾から青森の北日本グループ」の2つの大グループに分けられました。
さらに、2012年に発表された論文に基づき、今まで“メダカ”と呼ばれていた魚の2種をそれぞれ、「南日本グループ」はミナミメダカ(学名Oryzias latipes) 、「北日本グループ」はキタノメダカ(学名Oryzias sakaizumii)と呼ばれることになりました。
キタノメダカ Oryzias sakaizumii
ミナミメダカ Oryzias latipes
二つのグループの遺伝的関係など今まで不明
日本列島に住むメダカは、大きく南日本メダカと北日本メダカの2つに分けられると考えられてきたことは分かりましたが、2つのグループの遺伝的関係や、各々がどのように生息域を広げてきたかについては、ほとんど調べられていませんでした。
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また、京都・兵庫の北部である但馬・丹後地方には、その二つのグループが交雑によって成立したハイブリッド集団がいるとされていましたが、その形成史についてはほとんど不明でした。
北日本メダカの“故郷”
今回、同研究グループは、東京大学で35年以上維持されている全国の野生メダカ系統維持群と佐賀県で採取した野生メダカ集団の染色体ゲノムを網羅的に調べ、メダカの集団構造を推定しました。
その結果、これまで南日本グループと呼ばれてきたメダカのグループは、北部九州を“故郷”とし、南は沖縄、北は岩手まで広がったことが示されたのです。
さらに、南と北のハイブリッド(混血)が住む地域と考えられてきた但馬・丹後地方は、実は、北日本メダカの“故郷”である可能性が高いことが統計学的に示されました。
故郷がこれまで不明だった北日本グループのメダカは、今回の解析により、但馬・丹後地方を起源とし、青森まで広がったことが結論付けられたわけです。
【注目プレスリリース】ゲノム解析から明らかになった日本列島メダカの2つの旅路-“出・北部九州ルート”と“出・但馬丹後ルート”- / 東京大学,岡山大学 https://t.co/E6jmXisPTh
— 日本の研究.comニュース (@rjp_news) December 5, 2018
難しい学術的な話ですが、今は「メダカブーム」ですね。
必ずこの研究結果を知って、さらにメダカの世界にのめり込んでゆくファンが多く現れると思います。
参考論文情報
米遺伝学会発行の電子ジャーナル【G3: Genes, Genomes, Genetics】で11月27日公開された論文:「Medaka population genome structure and demographic history described via genotyping-by-sequencing」
米遺伝学会発行の電子ジャーナルG3の記事は>>> Medaka