豆知識

日本人と胃腸薬の長い歴史。症状に応じた胃腸薬の選び方。

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年末から年始にかけて宴会が続き、胃もたれなどする方が多いと思います。
そのようなときに頼りになるのは胃腸薬ですね。
ただ、胃腸薬も飲み方に注意しないと無駄になることもあります。

日本人と胃腸薬の長い歴史

食べすぎや飲みすぎなどで、いつも胃腸薬を使っている人は多いと思います。
ほとんどの家庭は常備薬として用意しているのではないでしょうか。

また、心理状態の比喩として、「胃が痛い」「ムカムカする」など
胃腸を使った表現がありますが、これは日本人ならではの表現のようです。
それほど日本人にとって、胃腸は大きな関心事なのだと思います。

日本人と胃腸薬の関係については長い歴史があって、
古くは熊胆(ゆうたん)などの胃の薬が飛鳥時代から利用されていました。
日本最古の胃腸薬としては「陀羅尼助(だらにすけ)」が文献に残っています。
漢方薬の安中散の処方は鎌倉時代に日本へ伝わって、市民に普及するようになりました。

明治時代からは西洋医学が伝わって、胃腸薬は薬剤として商用化され始めました。
そのころから、風邪薬、鎮静剤などと同じく、
市販薬として胃腸薬は家庭に必要不可欠になりました。
症状によって様々な胃腸薬が作られて、その種類も限りなく多くなっていきました。

以下は、日本の胃腸薬の歴史です。

○飛鳥時代 
・オウレン(黄連)、オウバク(黄檗)やユウタン(熊胆)などの健胃生薬を煎じて飲んでいた。
○奈良時代 
・日本最古の胃腸薬「陀羅尼助(だらにすけ)」誕生。苦味健胃薬、芳香性健胃薬も利用。
○鎌倉時代
・安中散が中国から渡来。
○江戸時代
・六君子湯(中国渡来)や富山の反魂丹などが利用される。
○明治時代
・西洋医学の影響を受ける。高峰譲吉がタカジアスターゼを発見し「三共胃腸薬」発売。
・1899年、信天堂山田安民薬房(現・ロート製薬)が「胃活」発売。
○昭和時代
・1957年、東京田辺製薬(現・田辺三菱製薬)が世界発のUDCA配合製剤「ウルソ錠」を発売。
・1978年、大正製薬が安中散を配合した「大正漢方胃腸薬」を発売。
○平成時代
・1997年、H2ブロッカーの市販薬転用を認可。「ガスター10」(第一三共ヘルスケア)がヒット。

症状に応じた胃腸薬の選び方

日本人が胃腸が弱い理由は、菜食の歴史が長かったことが一因とされています。
江戸時代までの菜食の食生活を続けたによって、胃の形が変わり、
肉食中心の西洋人に比べて、食物や胃液が胃に長く留まりやすくなっている、とのことです。
肉食が復活したのは明治時代からですが、その胃の形は変わらず
今のストレス社会の影響もあって、胃腸薬を使う機会が多いです。

胃腸薬は種類が多いので、症状に合わせて適切に飲むよう注意が必要です。
日本人が最も利用するのが、胃酸を調整する制酸薬で、次に食べ過ぎなどの消化薬、
最後に胃の機能全体の働きを高める健胃薬です。
これらは症状に合わせてうまく飲まなければ、胃腸薬の効果が確かなものになりません。

そのような中で、40年程前から「漢方胃腸薬」が登場しました。

1978年に大正製薬はいち早く漢方を取り入れ、
新しいタイプの胃腸薬として「対象漢方胃腸薬」を発売しました。
それまでは胃腸薬は食後に服用するのが常識でしたが、
この薬は食前・食間に服用する胃腸機能亢進(こうしん)型です。
これがヒットして、翌年には市場シェアの約10%を占めて、漢方ブームの火付け役となりました。
今では各社から多くの漢方胃腸薬が発売されています。

以下は、症状と原因に応じた胃腸薬の選び方です。

○胃の機能低下による胃もたれ・膨満感 → 健胃薬、消化薬
○胃の筋肉(平滑筋)の異常収縮による胃痛 → 鎮痛鎮痙薬
○胃酸過多による胃痛・胸やけ → 胃粘膜保護薬、制酸薬、H2ブロッカー
○幅広い胃の不快症状に → 総合胃腸薬、漢方胃腸薬

もちろん、漢方が最も優れているということではありませんが、
漢方胃腸薬の登場によって、食事前に服用できるという選択の幅が広がりました。

最近はセルフメディケーションの流れになっていて、
消費者が賢く選択することが必要になりました。
胃腸薬は日本人の友として、選択の指針の1つになるかもしれません。

おわりに

日本人は胃腸薬とは奈良時代からの付き合いだったのですね。
胃腸薬をうまく使って楽しい宴会にしましょう!

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