江戸時代の店(たな=商家)などの住み込みの奉公人は年に2回しか休暇が許されませんでした。基本的には実家に帰るための休みで「藪入(やぶいり)」と呼ばれていました。
落語の名作「藪入」でもおなじみですね。
当時の丁稚や女中は旧暦1月16日と旧暦7月16日にそれぞれ数日程度の正月とお盆休みをもらっていたわけです。 奉公先の重要な行事の手伝いを終えた後、彼らが田舎に戻り、実家の行事にも参加できるようにとの配慮があったようです。
また、店の主人は奉公人に着物、履物、手土産やお小遣いを与えて送り出したそうです。
興味深いことに、藪入と同じような発想の習慣がイギリスにもありました。
毎年12月26日(26日が日曜の場合は27日)の一日だけ行われる行事でBoxing Dayと呼ばれています。
英国ではクリスマスは日本の「盆と正月」を合わせたくらい重要な祭りで、クリスマスを皆のようにお祝いできなかった人達への気遣いから始まったと思われます。
ある資料によりますと、「クリスマスを皆のように祝えなかった人」の筆頭にbartender(バーテンさん)がありました。
クリスマス・パーティーで周りが酔ってわいわい騒いでいる中、しらふで立ちっぱなしで仕事をさせられる気の毒な人です。
その他、クリスマス・カードやプレゼントを最後まで届けたpostman、郵便配達員達やご主人様のクリスマス行事を支えた家の使用人達です。 ボクシング・デーに休日出勤者達が休暇を与えられるのは勿論ですが、箱入りのプレゼント、Christmas Boxも贈呈されます。
教会ではクリスマスシーズンに集めた寄付金で買ったプレゼントを箱に詰めて、恵まれない人たちに配ります。
記念日の名前を聞いて期待を持った格闘技ファンの皆様には申し訳ありませんが、ボクシング・デーにはタイトル・マッチが開催されるわけではありません。
しかし、この日にデパートは大バーゲンセールをやるので、安売り商品の客同士の激しい奪い合いのシーンは見られるかも知れません。