前回で分かったように、Jumboとは19世紀の有名なサーカス象の名前でした。
今は世界中で「巨大」を表す形容詞として親しまれています。
このオスのアフリカ像は、1861年に仏領スーダン(現在のマリ共和国)で捕獲され、パリにある国立自然史博物館付属パリ植物園付設動物園で飼育されていました。
4年後、1865年にロンドン動物園に移され、そこで人を乗せる実演を行うことで有名になりました。
ここロンドン動物園の飼育係がこの象をJumboと名付けたのです。
ジャンボと名付けた理由については、主に二つの説があります。
第一の説は、Kongoコンゴ語(現在のCongoコンゴやAngolaアンゴラの言語)で象を意味する単語「nzamba(ンザンバ)」が元だったというものです。
その言葉が英語風に訛ってジャンボになったのではないかというのがこの説です。
第二の説は、東アフリカの公用語、スワヒリ語のこんにちはという挨拶、 「jambo」、 と酋長を意味する「jumbe」を合わせて、Jumboと名付けたのではないか、という説です。
いずれにしても、当時の欧米人には「アフリカ」のイメージが湧いてくるような響きだったのでしょう。
日本でも、特別に大きいサイズという意味で、宝くじからアイスクリームにまでジャンボと名前が付いています。
しかし、一つ例外的な使い方をしていた人がいます。
前回、ザ・ドリフタースの元リーダー、いかりや長介さん(本名:碇矢長一、1931-2004)もジャンボで有名だと取り上げました。
しかし、「長さん」のジャンボは、「jambo」の方の綴りのジャンボでした。彼は東アフリカ、特にケニアが大好きで、現地の挨拶「jambo」を日本でも使っていたということです。
日ごろあまり意識しませんが、アフリカ大陸の言葉が語源で、我々が英語だと思っている単語が多々あるようです。
欧米にアフリカの言葉が届いたのには、大航海時代の「発見」やその後の奴隷貿易と植民地化など、様々な要因があったと想像します。
また、逆に、英語がアフリカに渡り、変化した言葉もあると思います。アフリカの様々な言語と英語との関係を探るのも面白いテーマになりそうです。