豆知識

七夕伝説のカササギって?彦星と織姫の関係

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カササギと言えば、「かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける」の歌があります。

作者は、中納言・家持(ちゅうなごん・やかもち。?~785)です。奈良時代後期の人で、万葉集のスター・大伴家持(おおとものやかもち)のことです。百人一首の中の一首としても有名です。

この歌は、「カササギの渡せる橋」になぞらえた「うち橋」が宮中にあって、その「うち橋」に白い霜が降り立っている情景を詠んだものと言われます。その霜の白い粒子が、「うち橋」の黒い板を背景にして、天上の星々を連想させているのです。

毎年夏、奈良では「天平たなばた祭」か開催されています。行事詳細はこちらから「なら旅ネット(奈良県観光公式サイト)」

この歌では、「カササギ」が「橋」を導き出す縁語の役割を果たしています。このカササギが橋を連想させる根拠となったのは、カササギの「七夕伝説」に由来していると考えられます。

カササギなくして彦星と織姫は出会えない?その役目と意味

「カササギの橋」は、もともと“烏鵲橋・うじゃくきょう”と呼ばれました。このことは、「けん牛と織姫の伝説」が中国から伝来したことを示しています。

中国での七夕伝説は、前漢時代(紀元前2世紀-1世紀ごろ)『淮南子』に「鳥鵲填河成橋度織女」と記されています。これは、「カササギが河を埋めて橋となり、織女を渡した」という意味になります。

このころには、一般的に知られた物語だったようです。七夕は、唐の玄宗皇帝の時代盛んになりました。とても古い慣習で7月7日の節日と関連ある行事・乞巧奠として日本に入ってきました。

七夕飾りの短冊の由来と書き方については、こちらの記事「七夕になぜ笹(竹)を飾るのか?その意味と願い事の書き方」に詳しく書きました!

カササギの伝説は、『七夕の夜、彦星(けん牛)と織女が会う時、カササギが翼を並べて天の川に渡す』というものが一般的です。この伝説から、カササギは男女の橋渡しの例えにも用いられて来ました。

または、「7月7日の夜に雨が降って織姫が彦星のもとに行くことができず悲しんでいる時、どこからともなくやってきた鳥が翼を広げ2人を会わせてあげた」という伝説もあります。この時の鳥がカササギでした。カラス科の鳥で背は黒く腹は白い色が特徴です。

この説によると、雨の日に二人を合わせるためにはカササギが不可欠でした。この話は地域によってさまざまに変貌し、いろいろな説話となって残っています。上記の物語とは反対に「晴れた日に」という設定の物語もあります。

平城京の御殿は天上界になぞらえ、宮中にはその殿舎の階段・うち橋がありました。このうち橋を「カササギの橋」に例えて盛んに歌が詠まれました。

  • 「深き夜の雲居の月やさえぬらん霜に渡せる橋(カササギの橋)・・・」〈続古今集/冬〉
  • かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける」〈新古今集/中納言家持〉

七夕と夏の大三角形の関係は星座で分かる

七夕の時期に見られる天の川と、その上に重なるように見られる夏の大三角形はちょうど七夕伝説と同じような配置になっています。
そのことから七夕と星座を結びつけることが多いですよね。しかもロマンティック!

これも七夕伝説の変遷に関係しますが、春秋戦国時代の『詩経』には、織女やけん牛という星の名称が見られます。これが、牽牛星や織女星について書かれた最も古い記述であろうとされますが、どの星を指しているのかは判っていません。
前漢の『史記』天官書によると、けん牛は牛宿のことであるとされています。

現在のけん牛星・アルタイルは、河鼓(天の川の太鼓)と呼ばれる別の星座の中の一星であるとされています。
このようなことから、牽牛星や織女星は時代によって、星と位置を変化させてきたと考えられます。

旧暦を使用していた時代には、7日は必ず上弦の月になることから、これを船に見立てて、この船が二人を渡すとされる物語もありました。この船の話には、カササギは登場しません。

現在、夏の夜空を見ると、天の川には「夏の大三角形」があります。この三角形は、琴座のベガ・鷲座のアルタイ・白鳥座のデネブによって形成されています。明るい星なので、夜空が晴れていればすぐに見つけることができます。

天の川の一方の岸にある琴座のベガが織姫(織女星)を表し、もう一方の岸の鷲座のアルタイルが彦星(牽牛星)を表します。そして、白鳥座のデネブが二人をとりもつカササギになぞらえられています。

現在の星座は西欧で創作されたにもかかわらず、デネブ周辺の星は白鳥という「鳥の形」の星座とされています。この星座が鳥を連想させるのは、星座の東西の端が天の川の両岸を渡し、十字に南北方向に延びる形状だからでしょう。

洋の東西を問わず、点をつないだ図形が「鳥」という共通の概念に行きつくことは、万国共通なんだなと興味深いですね。

七夕伝説とカササギについてのまとめ

七夕伝説は伝わる時間とともに少しずつ変化しました。

牽牛は天宮の牛舎を司る役人でした。織姫は天宮の機織り女でした。彦星と織姫は、出会い、恋に夢中になり、勤めをおろそかにしました。そのため天帝にとがめられ、罰として一年に一度しか会うことを許されなくなりました。二人は、その日を待ち焦がれて年に一度だけあうことができるのです。

雨が降ると、二人は会うことができません。それを助けたのがカササギです。水嵩の増した天の川を渡します。恋が成就して織女の気持ちが和らげば、「機織りや裁縫の腕前を上達させてください」という願いをかなえてくれるかもしれません。

私の故郷では、七夕を旧暦で祝いました。笹が用意された翌日の早朝、子供たちは器を手にサトイモ畑に向かい、サトイモの葉に降りた露を集めて帰ります。その露で墨をすり、筆で短冊に願いを書くのです。そうしなければ、願いが七夕様に届かないと云われました。

今でも故郷では、このゆかしい習慣を守っているでしょうか。懐かしい七夕の思い出です。

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