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自動運転ならば何が許される? - スマホ○ 飲酒× - 改正道路交通法試案

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車の自動運転に関する規定が初めて盛り込まれた改正道路交通法の試案が公表されました。

ドライバーは自動運転中も安全に車を走らせる義務を負うとしたうえで、携帯電話の通話やメールの操作などは条件付きで認めるとしています。

改正案は運転席にドライバーがいる前提の自動運転

 政府の基本方針に沿って、自動運転の実用化に向けた規定が、初めて盛り込まれた道路交通法の改正案が、警察庁から20日、公表されました。

政府は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年をめどに、運転席にいるドライバーが操作のすべてを自動運転に委ねることができる高速道路での実用化などを目指しています。

今回は「レベル3」が想定

自動運転の性能の段階は、ハンドルやアクセル、ブレーキのいずれかが自動の「レベル1」から、ドライバーが一切運転にかかわらない「レベル5」までの5段階に分かれています。

20日の改正案では、このうち「レベル3」での自動運転を想定しています。

「レベル3」では、渋滞中の高速道路など、特定の条件に限り、車のシステムが全ての運転操作を行う一方、緊急時には、ドライバーがすぐに運転操作を引き継ぐことが求められています。

警察庁が公表した改正道路交通法の試案はこのレベルの自動運転を想定していて、自動運転で車を走らせる行為は法律上の運転にあたると位置づけています。

そのため、安全に車を走らせる義務は自動運転装置を使用するドライバーが負うとしています。

運転中に禁止される行為は?

レベル3ではドライバーは自動運転中も運転席で確実に自動運転装置を操作して安全運転の義務を果たし、必要が生じた場合にはいつでも操作のすべてを引き継がなくてはいけません。

この前提が意味することは、飲酒は装置から運転を引き継いだ瞬間、飲酒運転の状態になってしまうので、たとえ自動運転の場合でも認められない行為となります。

また、睡眠も運転操作を引き継がなければならない状況そのものを察知できない可能性があるので、これも認められません。

さらに、運転席を離れ、助手席や後部座席にいることもすぐに運転操作を引き継げないので認められないでしょう。

運転中に許される行為は?

では運転席に座っていれば、自動運転中に認められ行為を確認して見ましょう。

許されることとして、自動運転中は常に周囲の様子を確認したり、ハンドル操作をしたりしなくてもよくなります。

よって、直ぐ手動運転に切り替えが出来る状態であれば、現在の法律で禁止されている、携帯電話を手に持ったままでの通話やメールを読んだり、打ったりする行為が許されることになります。

同様に、カーナビの画面を注視する行為やゲームの操作などはすぐに装置から運転操作を引き継げるという状況であれば認められます。

注意が必要なのは、食事や読書などについてです。

携帯の通話などの行為と同じ理由で一般的には認められると考えられますが、行為に熱中していたり、無理な体勢でいたりして、運転を引き継げない状態であった場合は、安全運転義務違反となる可能性があります。

事故の場合の責任は?

万が一交通事故が起きた場合の原因究明などのため、自動運転の作動状態を記録する装置の備え付けが車の所有者などに義務づけられています。

ドライバーの操作ミスか、装置の故障か、または自動運転装置の設計段階の間違いなのかによって事故の原因が異なりますので、責任の行方が大きく変わってきます。

責任の追及のためにも、あらゆる事故の原因の可能性を検証する必要があります。

さらに、保険の掛け方にもこの新しい状況に対応するものが必要となります。

意見を募集

車の自動運転に関して、想定できる様々な問題を把握し、対応策を練るために、山本国家公安委員長は20日の定例の記者会見で、「試案は、国内外の自動車メーカーなどが自動運転の実用化に向けて技術開発を進めている情勢を踏まえたもので、国民から幅広く意見を募集することにしている。多くの方に試案を知っていただきたい」と説明しました。

今後、警察庁はこのように一般からの意見を募集してさらに検討を行い、来年の通常国会に道路交通法の改正案を提出する方針だそうです。

想像していたより早いスピードで、自動車=自動運転車の世界になりそうですが、楽しみと不安が入り混じった、複雑な気持ちになりますね。

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