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「夏時刻法」復活?サマータイム(夏時間)導入を再び検討:東京五輪の猛暑対策案

 

2020年東京五輪・パラリンピックの暑さ対策のため、全国一律で時間を早める「サマータイム」の導入を東京五輪大会組織委員会の森喜朗会長が安倍晋三首相に、先月に引き続き、昨日再び要請し、政府与党が制度導入を検討することになりました。

夏時間は省エネ効果などがあるとして、欧米では広く実施されていますが、日本になじむのでしょうか?

限定的導入のサマータイムとなるのでしょうか?

2020東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が先月に引き続き昨日安倍晋三首相を訪問し、「2020年に限ってでも良いのでサマータイム(夏時間)を導入する法改正を検討して欲しい」と首相に申し入れました。

現状より1~2時間早めることで、大会期間中の暑さ対策を進めるのが主な狙いだと説明しました。

現時点では、最も暑い6~8月を軸に数カ月間だけ2時間繰り上げる方向で与党は検討に入ったと報じられています。

2019年に試験導入した上で、問題点を改善し、2020年に本格導入する案が有力だと言われています。

導入すれば、午前7時スタート予定のマラソンが、もっとも涼しい午前5時スタートとなり、日が高くなる前にレースを終えることが可能になります。

森会長は以前から「夏時間を導入すべきだ」との意見を持っていたようです。

先月の首相との会見では、大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は「40度を超す今年の暑さを考えると、更なる対策が必要だ」と述べ、急きょ正式に申し入れることにしたそうです。

また、森会長は、今夏の猛暑に触れ「来年、再来年に今のような状況になっているとスポーツを進めるのは非常に難しい」と指摘し、さらに、「続くなら東京五輪の大きなレガシー(遺産)になる」と首相に提案しました。

すでに、マラソンのスタート時間を当初計画より30分早めて午前7時にするなど、予想される猛暑への対策を打ち出してはいるものの、日本の記録的な猛暑を受け、欧米メディアでも開催時期への疑問や、さらなる対策の必要性を報道しています。

菅官房長官は、森喜朗会長と武藤敏郎事務総長の要請を受けた後の記者会見で、「猛暑対策というのは重要な課題であり、サマータイムは1つの提案として受け止めるが、国民の日常生活にも大きな影響を生じるものだ」と述べ、慎重に検討する考えを示しました。

その上で菅官房長官は「暑さ対策は競技の開始時間の前倒しや沿道の緑化、それに路面の温度の上昇を抑制する舗装などの取り組みを進めており、ハード・ソフトの両面で、総合的な対策を徹底したい」とも述べました。

日本でも和製サマータイム「夏時刻法」が導入されていました!

サマータイムやアメリカのDaylight Saving Time(DST)など、「夏時間」は省エネ効果などがあるとして、現在は欧米では広く実施されていますが、実は、日本でも導入されていたことがあったのです。

第二次大戦後、連合国軍占領期にGHQの指示により「夏時刻法」(なつじこくほう)という法律が発行され、和製サマータイムが約3.5年間続きました。

夏時刻法は1948年(昭和23年)4月28日に、電力不足の深刻化などを受けて公布・施行されました。

しかし、1951年(昭和26年)度にサンフランシスコ講和条約が締結され、条約発効による日本の主権回復とほぼ同時に、国民の間では不評だった夏時刻法は4月11日に廃止されました。

一般の日本国民の間では、夏時間の実施により、残業増加や寝不足を引き起こすなどの害が多いと評判が悪かったそうです。

しかし、近年も、今回の導入の検討が最初ではありません。

1990年代以降、政府や超党派の議員連盟が導入を目指してサマータイムの議論を度々重ねてきました。

衆参両院超党派の100名超の国会議員達により2004年(平成16年)8月に「サマータイム制度推進議員連盟」が設立されたこともありました。

2008年には福田康夫内閣が前向きな姿勢を示し、超党派の議連が法案をまとめたが提出は見送られてしまいました。

また、民主党政権でも東日本大震災後の11年に節電策で議論が再び浮上しましたが、また立ち消えになってしましました。

夏時間導入に対する懸念材料も多い

夏時間の導入に関しては賛否両論で意見が色々あり、住んでいる地域や生活様式によっても導入の影響が随分違ってくるようです。

国際的には赤道から離れるほど夏時間の効果を感じられると言われています。

日本列島は東西に細長いため、東日本と西日本で日の出・日の入りの時刻に大きな差があり、このために全国一律にサマータイムを導入するには不適という意見も多いようです。

節電効果については、日本は湿度が高く、日没後も蒸し暑いため、帰宅後の冷房需要が他国と比べて大きい(特に関東以西の地域ではそれが顕著)ので、勤務時間をずらしても、節電効果は少ないのではとの見方もあります。

また、日本の周辺国の多くはサマータイム制を導入していないので、欧米のサマータイムに合わせる必要性が薄く、隣国との連携に悪影響を及ぼす心配もあるのではとの声もあるようです。

東京オリンピックの暑さ対策としてのサマータイム

サマータイムを導入すれば、競技時間は実質的に前倒しになります。

猛暑の時間帯より前になれば、選手や観客の負担は減り、省エネや温暖化ガスの削減効果も期待できると言われています。

また、東京五輪の暑さ対策としてミストシャワーや大型冷風機導入などを進めているが、今夏の記録的な暑さを受け、選手や観客らの熱中症対策には抜本的な運営の見直しが必要だとの声が高まってきました。

一方で夏時間に切り替わる際にはコンピューターのプログラムや航空・鉄道のダイヤ変更が必要で、混乱が生じると心配する声もあります。

またオリンピックだけのための効果を考慮して見ても、幾つかの懸念材料があります。

例えば、もし東京五輪でサマータイムが導入されると、夕方に開始予定の競技はより暑い時間帯から始まることになるなど、新たな課題が出ることも懸念されます。

今は導入の可能性が強いように報道されていますが、現時点では想像が出来ないようなメリットとデメリットが出てきそうですね。

ちょっと古い言い方ですが、サマータイム対応に「柔らかアタマ」が必要になりそうですね。