豆知識

山手線で自動運転を実験 – JREが無人運転の実現目指す

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列車の無人運転を目指すJR東日本は、山手線を利用し、自動運転の試験走行を行いました。

7日の試験走行では、終電後に、山手線外回りで車両を2週させる間に、開発中の自動運転装置を使って、加速・減速・惰行などが繰り返されました。

ATOを山手線で走行試験

JR東日本が7日、運転士が乗務しない自動運転の導入に向けた走行試験を東京の山手線で行いました。

自動運転の走行試験は、JR東日本が開発を進めているATO=自動列車運転装置を備えた「E235系」の車両を使い、終電後の山手線で行われました。

車両は大崎駅を出発し、1周34.5キロを2周しました。

今回の実験は3日目

山手線では現在、「自動列車制御装置(ATC)」や「定位置停止装置(TASC)」によって制限速度でブレーキをかけたり、ホームの停止位置に止まったりすることは自動化されています。

しかし、今では加減速などは運転士による手動で行われています。

JR東日本は今回、運転士が出発時にボタンを押すだけで次の駅に停車するまで自動運転できる開発中のATOを山手線の新型車両「E235系」に搭載、昨年12月29日の営業運転終了後から走行実験をスタートさせていました。

今回の7日は実験3日目で、午前1時50分ごろから外回り線を2周し、ダイヤ通りの運行と遅れを回復する場合の2種類の走行パターンを想定しながら、加減速の制御の他、乗り心地の確認も実験の対象に行われました。

今回は、運転士は非常時に備えてブレーキ近くに手を添えながらも、実際の操作は出発時にボタンを1度押しただけでした。

すでに進んでいる無人自動運転

実は、運転士が乗務しない自動運転は、神戸市の「ポートライナー」や、東京の「ゆりかもめ」など、外部の交通と交わらない高架橋やトンネルでの運転を前提に設計された新交通システムですでに導入されています。

無人自動運転は難しい技術のように思えますが、鉄道の世界では古くから実用化されています。

無人営業運転を行っている鉄道路線

(運転操作を行わない乗務員が乗る場合を含む)

・日暮里・舎人ライナー(東京都)

・ゆりかもめ(東京都)

・ディズニーリゾートライン(千葉県)

・シーサイドライン(神奈川県)

・リニモ(愛知県)

・ニュートラム(大阪府)

・六甲ライナー(兵庫県)

・ポートライナー(兵庫県)

以上の路線は、ゴムタイヤで走る新交通システムとモノレール、浮上式のリニアモーターカーです。

鉄のレール上と鉄車輪の車両が走る「普通の鉄道」に比べ、停止位置の精度を高く保つことができますが、線路を走るのは専用の車両のみとなります。

自動車や人も通る道路に比べ、人の飛び出しなど不意のアクシデントは少ないため、自動運転を導入しやすいと判断されたと思われます。

開発の裏には将来的な運転士/車掌の不足

JR東日本はおととしプロジェクトチームを立ち上げ、運転士が乗務しない自動運転の導入に向けた検討を進めていますが、その背景には、将来的な人手不足に備えるためだと説明しています。

社員の年齢構成を見ると、去年4月の時点で旧国鉄時代に採用された55歳以上が4分の1近くを占めているのに対し、民営化の前後の時期は採用を抑えていたため、45歳から54歳の層が1割程度にとどまっているそうです。

このため、社員の多い年齢層が定年を迎えて退職したあと、近い将来、運転士や車掌などの不足が見込まれています。

今後の課題山積

JR東日本では、自動運転導入の具体的な時期や路線はまだ決まっていませんが、ほかの路線からの乗り入れがない山手線や、高架化された東北新幹線などでの導入を検討しています。

JR東日本の2027年までの中期経営ビジョンでは、緊急時に備えて車掌などの係員だけが乗車することを想定し、将来的には乗務員を完全に無人化することも検討しているそうです。

しかし、仮に今運営されている新交通システムなどと同じ方式の無人自動運転を実現させようとするなら、線路やホームを造り直さなければなりません。

また、道路との交差は立体化して踏切を無くす必要があります。

さらに、線路のそばに道路や民家があるような場所では、絶対に無断侵入できないような巨大な壁を建設しなければならない可能性があります。

全ての駅にホームドアの設置が必要となります。

場合によっては、天井まで伸びる背の高いホームドアも必要になることが考えられます。

必要な全ての改修費用は巨額になることは間違いないでしょう。

さらに、費用だけではなく、駅の設備や運行条件のルールの見直しも必要になることから、国土交通省は専門家や鉄道各社でつくる検討会を設置して、法的な課題についても議論を進めています。

自動車の一般道での自動運転が現実化している中、レールの上を走る鉄道の自動運転化が広がるのは当たり前かもしれませんが、くれぐれも「安全第一」で進めて頂きたいものですね。

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