米語と英語の間には同じような発音で同意語でも、スペルが違う言葉はまだまだ多くありますが、近年、映画、テレビ、流行歌とSNS等の強い影響で、相互理解が進み、場合によっては同化も起きています。

ところが、英語圏で使われていた灰色、無彩色、鼠色(?)を意味する言葉「グレー」の綴りは、西暦700年からgrayでもgreyでもどっちでも構わない「ゆるい」スペリングが許されていたようです。
これはMiddle English(中英語と言われる英語の起源となる言語)でのこの言葉の語源を調べてもaとeの使用例があるようです。
また、強いて言えば、英国圏ではgreyが好まれていましたが、アメリカでは20世紀半ばまでaとe、どちらを使うかは決まっていませんでした。
しかし、20世紀の半ば以降、アメリカ人の作家達が、なぜかgrayを好んで使うようになり、今はアメリカではgrayが主流となっています。
皮肉なことに、そのアメリカ人が最も頼りにしている長距離バスは「Greyhound(俊足なサイトハウンド犬の一種)Bus」で、e入りのグレーです。
この名前は、犬種の正式な名前で、このスペルは不変だそうです。
また、エミー賞受賞のヒットテレビドラマ「グレイズ・アナトミー恋の解剖学」のグレイズのスペルはGrey’sで、主人公の名前でもありますが、製作側の思惑では「医療にも、人間関係にも、白黒つけられないことが多い」という意図があったようです。
そこで、grayと綴ったら、その裏の意味が露骨に分かってしまうと思い、あえて、使用頻度の少ない方のスペルを選んだのではと推測します。
日本ではGLAYだよ!と言いたいグレイファンもいるでしょうが、一説によると、彼らの音楽はwhite(白人の音楽)でもblack(黒人の音楽)でもないので、中間のGRAYがバンド名にふさわしいと思ったが、ちょっとスペルを捻ってGLAYにしたとなっています。
ひとつ間違えたらGLEYになっていたかも知れません。
長々とeかaかを考えてみましたが、結論としては、どっちでも大した問題ではないということですね。
しかし、受験生の皆様は、入試の回答にどっちのスペルが良いか、先生へのご確認をお勧めしておきます。