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アメリカ出生地主義を廃止?アメリカ国籍に“大統領令”までとびだした発言の意味

2018年11月6日のアメリカ中間選挙を前に、トランプ大統領がまたも驚きの発言をしています。それが「大統領令でアメリカの出生地主義を廃止する」というもの。トランプ大統領は中間選挙にあたり政策の目玉として移民抑制を掲げているため、アプローチのひとつとしてこのような発言をしたものとみられています。

日本人には出生地主義と言われてもあまりピンときませんが、いわゆる“国籍の付与”に関わる制度のことです。最近では日本でも重国籍がニュースになりますが、その基になるのが“国籍”です。普段あまり意識しませんが、普段の生活の中でも享受している権利や義務はまさにこの国籍(アメリカでは市民権)が関わる国家の根幹とも言うべきものです。

なぜ移民と関係?アメリカの出生地主義と国籍(市民権)

そもそも出生地主義(Birthright citizenship/jus soli)は、その土地で生まれた全ての人に市民権(国籍)があるというものです。アメリカの国家の成り立ちや歴史に関わりますが、アメリカの創設と哲学がわかる“自由の憲章”として知られる3つの文書にみることができます。

「独立宣言/Declaration of Independence」「憲法/Constitution」「権利章典/Bill of Rights」のうち権利章典には市民権(国籍)や州の権利を定義しています。その中のアメリカ合衆国憲法改正第14条2項でアメリカで生まれた者、帰化した者について法の下の平等と権利の侵害について書かれています。(アメリカの南北戦争終結後、1868年に改正)

All persons born or naturalized in the United States, and subject to the jurisdiction thereof, are citizens of the United States and of the State wherein they reside. No State shall make or enforce any law which shall abridge the privileges or immunities of citizens of the United States; nor shall any State deprive any person of life, liberty, or property, without due process of law; nor deny to any person within its jurisdiction the equal protection of the laws.

これにより実際には大統領令だけで出生地主義をうたう憲法を廃止(変更)することは現実的ではなく、仮に改憲となれば連邦議会の2/3の承認を得る必要があります。

>>> アメリカ中間選挙、連邦議会について知る

他にもある出生地主義の国と日本の国籍

アメリカの出生地主義に対して日本ではいわゆる血統主義で親の国籍を子どもが継承することになっています。アジアや中・東欧のほとんどが血統主義に対して出生地主義はアメリカ、カナダをはじめ中・南米のほとんどの国で採用されていてその国はおよそ30カ国になります。

なおヨーロッパのフランスやイギリスでも以前は出生地主義をとっていましたが、近年になって条件付き出生地主義に変更しています。居住年数や親の国籍を条件に付け加えたものが多いようです。

また重国籍は認めている国と認めていない国があり、日本は原則認めていないため22歳になるまでに国籍の選択をする必要があります。これがいわゆる二重国籍問題としてニュースになることがあります。

今回のトランプ大統領の発言は大統領になる前から公約として主張していたことでもあるため、今後の政策次第でアメリカでは議論をよびそうです。